2014年2月21日金曜日

Google Chromeを業務用Webアプリケーションプラットフォームとして使った顛末

昨年の投稿で「Google Chromeを業務用Webアプリケーションプラットフォームとして使用するためのTips」というエントリーを書きました。当ブログ内でのアクセスランキングでも人気投稿になっています。

実際にChromeを使ってみた結果としては、いい事ばかりではありませんでした。このブログでエントリーを書いた責任として、事の顛末もちゃんと記しておきたいと思います。

Google Chromeを業務システム用プラットフォームとして使った場合の問題点・困った事としては以下の様な事がありました。



1.入力項目ごとにIMEのOn/Offが設定できない。

もともとこれはIE独自の仕様でCSSのプロパティとして以下の指定ができます。
ime-mode: auto;
状況に応じて自動設定します。初期値です。
ime-mode: active;
初期状態が日本語入力モードになります。
ime-mode: inactive;
初期状態が英数字入力モードになります。
ime-mode: disabled;
英数字入力モードで固定となります。ユーザーがモードの変更をする事ができません。
当然の事ながらIE独自の仕様ということは他のブラウザでは有効ではありません。ただ、業務システムという観点で見ると、入力項目ごとにIMEの自動切り替えが出来ないのはユーザビリティが著しく低下する事となります。



2.外字が利用できない

これも業務システム特有のニーズです。特に人事など人名を正確に扱うシステムでは、外字が必須になってきます。

・外字の表示
 表示に関しては、WOFF(Web Open Font Format)を使う事により外字をChrome上で表示する事ができます。WOFFコンバータと呼ばれるツールを使って外字フォントをWOFFに変換し、WOFFファイルをサーバー上にアップしてCSS内にその旨記述します。

・外字の入力
 結論から言うと、外字の入力はChromeでは不可能です。いろいろ検証したのですが、unicodeでは9Fxxまでは入力した文字を表示できているのですが、A000以降は文字化けしてしまいます。外字はU000からが外字領域ですので外字に限らずA000以降の文字コードは入力項目では扱う事ができないようです。(これはChromeの仕様として確認できているものではありません。あくまでも動作検証の結果です)



3.最新バージョンでHTMLのレンダリングにバグがあった

最新のChrome 32ではAuraアーキテクチャーが採用され、レンダリングに関する部分が大幅に変わっているようです。なぜか多くのバグを抱えたまま安定版としてリリースされてしまったようで、GeneXusで作成したアプリでもHTMLの描画で問題が発生しました。

具体的にはセクションコントロールを使ってグリッドをスクロールできるようにoverflow=scrollとしている部分で、マウスを使ってスクロールを繰り返していると、ブラウザがフリーズする事態が発生しました。

もともとChromeは自動アップデートする事により、不具合が知らないうちに直っていくという点が優位性として謳い文句になっていましたが、今回はそれが仇になりました。

もちろん、Chromeを使うTipsとして、バージョンを固定する方法を採用していましたが、たまたま別のPCで(バージョンを固定していないChromeで)問題が発覚した格好です。




結論

業務システムでChromeを使うのは難しそうです。特にエンドユーザーがITに慣れていない年齢層の高い方々の場合は、ユーザビリティの低下は致命的です。

そもそも「何故Chromeを使う必要性があったのか?」を振り返ると、古いIE(特にIE6)ではGeneXusが生成する画面の描画が遅くなる(JavaScriptエンジンが遅いため)事が原因でした。その解決策であるChromeが使えないとなると、次の手段としてはWindows XP/IE6から新しいバージョンのWindows/IEに入れ替える事になります。

なかなかすっきりとした解決方法が見つかりませんが、Windows XPのサポート切れも目前(2014年4月9日)に迫っています。PCの入れ替えも視野に検討が必要な時期かもしれません。

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